電気代やガス代、食料品の値上げが止まらない。物価の上昇が続く中で、横山町を訪れる専門店や卸からは「これでは衣料品は後回しになってしまう」という嘆きの声が聞こえる。一方で、繊研新聞社の調査によれば、「今春夏商品の仕入れを増やす」と回答した専門店は前年を大きく上回った。春商戦を乗り切るポイントを探る。

41年ぶりの物価高

 1月20日に総務省が発表した昨年12月の全国の消費者物価指数(2000年=100、変動の大きい生鮮食品は除く)は104・1となり、前年同月比で4・0%の上昇。実に1981年以来、41年ぶりの高い水準に多くの人が衝撃を受けた。物価高を実感させる数字だった。

 その中で、「被服及び履物」の指数は前年1年間で102・0、前年同月比104・2だった。長く続く原材料高や輸送のコスト増、円安圧力などが影響している。昨年11月との比較では0・8%低下したものの、価格上昇は予断を許さない。日銀が発表した12月の企業間物価指数は前年同月比で10・2%上昇し、22カ月連続で前年を上回った。卸の多くは「メーカーからの値上げ要請はいまだに続いている」としており、価格の高止まりは警戒する必要がありそうだ。

仕入れ増は6割超

 繊研新聞社が中小衣料専門店を対象に行った「22年販売結果と23年経営見通しアンケート」は、この春夏物の仕入れについても調査している。23年春夏物仕入れ計画を「前年よりも増やす」と回答した専門店は66%、「前年並」が17%、「減らす」が17%だった。増やすとした専門店は、昨年の40%を大きく超えた。コロナでの行動制限がなくなり、全国旅行支援などにより外出機会が増え、客数と売り上げが上昇していることが背景にある。しかし、物価高によって消費者が衣料品を買い控えるのではないかと懸念する声も聞かれる。

差別化と在庫縮小

 同アンケートでは、この春夏以降の仕入れについても聞いているが、そこから見えてくるのは商品の差別化だ。「オリジナル商品の強化」が最も多い。他店との差別化を図ると同時に、価格に見合った商品の価値、そして多様化する顧客の好みにマッチした商品の開発を目指している。横山町の卸は「値上がりしている中で価格に見合った価値の提供は最も大事な要素。お客様からの要望も強い」と話す。

 同時に取り組むのが在庫縮小だ。「ブランド数を見直す」や「予約販売」などの施策によって売り上げと在庫のバランスに注力する姿勢も見える。

 横山町を訪れる専門店がオリジナルを開発するのは難しい。しかし、売れ筋商品を機会ロスなく仕入れることは可能だ。卸の担当者と緊密に連絡を取り、商品の動きを知る。他店のやり方に学ぶ。問屋にはその機能がある。コロナ感染は減少傾向にある。まめに横山町を訪れて、情報収集と確度の高い仕入れをしていくことが、春商戦で成果を上げる近道だ。