2026年のファッション市場は、気候変動による販売時期のズレ、原材料価格の高止まり、為替の不安定化、消費の二極化など、複合的な不確実性に直面している。店頭は前年踏襲型MDでは通用しにくい状況だ。こうした環境下で、改めて横山町問屋街の現場力が小売店をサポートしていく。

 

上品さと品格、機能

 12月の気温の低下で冬物アウターは比較的好調に推移した。12月8〜11日に開催した横山町奉仕会の「歳末大感謝市」は多くの小売店で賑わった。

 一方で問屋各社のバイヤーは既に春物の商品戦略に取り組んでいる。宮入(横山町6の18)は年明けの1月5日から「2026婦人アウター春物展示予約会」、丸太屋(東日本橋2の26の8)は1月13〜20日に「2026年婦人春物ボトム『春物新作展示発表会』」を予定している。春物商品を年初から見せることで、実需期の仕入れをサポートする。

 アパレル各社の春物の傾向を見ると、ミセス、シルバー層向けのレディス衣料では、身体的な変化を受け止めながらも、上質さや品格を損なわない服づくりが重視されている。締め付けの少ない設計や軽量素材、動きやすさへの配慮は必須で、「無理なく着られて、きれいに見える」がポイントになるだろう。

 寒暖差を意識した着脱のしやすさや通気性、季節感のある素材選びが重視される。高齢者向けファッションブランドや専門通販では、カーディガンや軽アウター、ゆったりとしたパンツやチュニックといった定番アイテムのほか、重ね着を前提としたベストや薄手ニットなどの商品群も安定した需要を保つ。流行を追うのではなく、日常生活に寄り添いながら安心感と上質感を両立させた商品の提案が、今後も求められそうだ。

連携強化が鍵

 不確実な要素が取り巻く環境の中で、確実に動き、ロスのない効率的な商品戦略を作り上げていくには卸との連動が不可欠だ。卸とのコミュニケーションと卸の店頭を訪れることが店頭MDの成否を左右する。気候変動により春の立ち上がり時期が年々読みづらくなる中、小売店には初動の精度よりも「動きを見ながら修正できる柔軟性」が求められている。その役割を担うのが、地域別の売れ筋や気温差を把握する卸の現場力だ。

 即納対応や短サイクルMD、国内生産との連携を強みに持つ横山町の卸各社は、地域別の売れ筋や気温差、メーカーの生産状況などを把握し、専門店ごとに最適な商品構成を提案する「情報の結節点」としても機能する。

 SPA化や ECを強化する動きが流通構造を変えているが、これは卸や小売店の役割が薄れるということではない。大手SPAが対応しきれない地域密着型のニーズに寄り添い、小ロット対応や限定企画で小売店の個性を支えるのが横山町問屋街の本領だ。

 変化のスピードは早い。だからこそ、現場を知る横山町の卸と全国の小売店が連携し、実需に即した供給網を構築すれば、卸と小売店が一体となり、流通の競争力が高まっていくに違いない。