横山町の問屋各社の店頭には、初夏向け商品に加えて、盛夏の夏商戦に向けた商品が出揃った。今年の注目は夏の気分を高めてくれるデザインと涼しさを感じさせる素材だ。今年は猛暑が予想されている。問屋が品薄になる前に、計画的に商品を仕入れていくことが必要だ。

接触冷感素材豊富に

 今年も盛夏向け商品では、肌に触れると瞬時に涼しさを感じさせる「接触冷感」、汗を吸い取って素早く放出して蒸れを防ぐ「吸汗発散」を取り入れた商品が増えてきた。特に夏物パンツでは主流になっており、ブラウスやチュニックにも広がっている。

 丸田産業東京支店(横山町2の3、P4)は接触冷感を強く打ち出す。美脚効果のあるストレッチ素材の「ハイテンションひんやりタッチ」のほか、デニムプリントパンツ、ワイドパンツなどでも接触冷感素材を使用している。また、テンセルと麻をミックスした素材では「吸汗発散」の機能を持たせた。このほか、宮入(横山町6の18)や丸太屋(東日本橋2の26の8)のパンツ売り場でも幅広いバリエーションを揃えて提案している。

 ニューいちやま(横山町8の14、P3)はチュニックに接触冷感素材を取り入れた。サラサラ感のある生地で、一枚でも重ね着でも着られる。幅広いカラーバリエーションで提案している。

ブラウスは天然素材

 ブラウスの素材は天然素材が定番だ。綿100%の素材を主軸にデザインやパターン、縫製に工夫を施した商品を提案している。

 宮入は1階(P3)のブラウスコーナーで刺しゅうやレース使い、チェック柄など、デザインに凝った商品を取り入れた。表面に少し変化をつけたのが特徴で、シーンに合わせた着こなしを楽しむことができる。2階(P3)はチュニック丈のブラウスが中心。ストライプやチェックなどベーシックな生地に飾りボタンなどで変化を持たせている。また、今年は綿とシルクの混紡素材のチュニックブラウスがおすすめだ。

デザインを楽しむ

 透け感であったり、サラサラとした肌触りであったりと、夏らしい素材を使用した中で、より高いデザイン性でファッションを楽しむ商品もある。

 内藤商事リラレーヌ(東日本橋3の13の1、P4)が提案するシャツが面白い。前身頃はカットソー、後身頃にはストライプの布帛を使用し、個性的で遊び心のあるデザインに仕上げた。このほか、トレンドになっている衿付きカットソーも「夏物を仕入れにいらっしゃったお客様に評判がいい」と、手応えを感じている。

 アクロス(横山町6の15、P4)は「アンジェリーナ」「ロックス」「マックス」の3ブランドで、それぞれ特徴のある商品を打ち出した。アンジェリーナは表面に変化をつけたプリントTシャツがイチオシだ。両脇にリボンの装飾をつけて、裾にもフリルのような形状を持たせている。ロックスは大胆な花柄プリントのジップチュニック、マックスはストライプのチュニックがオススメだ。ボタンやジップがあることで着脱しやすい。

来街前に相談を

 「夏物商品は店頭に投入する前に商品と仕入れ枚数についてお得意先様と打ち合わせしている」(宮入)や、「LINEを使って商品の情報を専門店様に送っています。店頭にお越しになる前に商品を決めて、店頭では素材感などの確認をしていただいて仕入れていただいています」(アクロス)など、ある程度の商品仕入れ計画を立てて横山町を訪れる専門店が増えている。都繊維(横山町10の14)やトーヨー(横山町6の11、P3)などもLINEを使っての情報発信と問い合わせ対応を積極的に行っている。

 こうした動きは、商品の追加が難しく、また海外商品の入荷遅れが懸念されているからだ。得意先専門店の商売で販売ロスを少しでも防ごうと懸命に努力している。せっかく横山町に仕入れに訪れても、欲しい商品が手に入らないという事態をできるだけ避けたいという思いが強い。夏商戦の店頭にどんな商品を投入していくか。いち早く取り掛かり、問屋の担当者と積極的に連絡を取る。少しでもチャンスを失わない、無駄やロスのない仕入れをしていくことが大事だ。