横山町奉仕会(西沢郷会長)と東京問屋連盟(村上浩一郎理事長)で構成する問屋街活性化委員会(西沢郷会長)は3月19日、視察研修で静岡県浜松市を訪れ、地元で頑張る企業に学び、地域の街づくりに取り組む姿を肌で感じてきました。(村上信夫問屋街活性化委員会街づくりソフト委員会委員長)
民間主導の街づくりと表裏一体の危機感
最初に訪問した「浜松まちなかにぎわい協議会」様では、中心市街地活性化の最前線を学びました。同組織は、郊外型モールの進出による「街の空洞化」という切実な課題に対し、遠州鉄道をはじめとする地元企業が結集して2010年に発足した組織です。
特筆すべきは、広告事業やパーキング、レンタルスペース運営など、自立的な収益モデルを確立して運営されている点です。
実際に拝見した遠鉄百貨店脇の広場「ソラモ」は、予約が即座に埋まるほどの人気拠点とのことで、当日もマルシェの活気で溢れていました。
しかしその一方で、浜松駅至近という一等地に、2001年の百貨店倒産から今なお空き地のままとなっている区画があるという厳しい現実も目の当たりにしました。この「成功と課題」が背中合わせの状況こそが、関係者の皆様の活動を支える強い危機感と使命感の源泉なのだと、深く感銘を受けました。
コア技術の伝承と「ポートフォリオ」の拡張
次に、ヤマハ株式会社の企業ミュージアム「イノベーションロード」を見学しました。
ヤマハの歴史は、創業者が壊れたオルガンの修理を手がけたことから始まったといいます。そこからピアノ製作、さらには木材加工技術を応用した戦闘機のプロペラ製造、金管楽器、オートバイ、シンセサイザーやルーターなどの電子機器、そして現代はボーカロイドまで。
一見すると全く異なる分野への進出に見えますが、既存の強みを少しずつ隣接分野へと拡張し、時代の変化に合わせて事業ポートフォリオをしなやかに変化させていく。この「伝統を守りながらの変革」のプロセスは、我々問屋街が次世代に向けてどう形を変えていくべきかを考える上で、非常に大きな示唆となりました。
顧客の「覚悟」に応える徹底したプロ意識
最後にお話を伺ったのは、マルゼン厨器株式会社の小栗社長です。小栗社長は、厨房機器販売という家業を継承しつつ、現在は「フードアシストネットワーク」というキーワードを掲げ、驚くべき多角化を成し遂げられています。店舗の立地選定をサポートするための不動産業、さらには運営に欠かせない顧客情報の保護を担うセキュリティコンサルティングなど、その活動は多岐にわたります。
特に印象的だったのは、「顧客の出店をあえて思いとどまらせることもある」というお言葉です。それは、新規出店という顧客の「一生を賭けた覚悟」に対し、プロとして真摯に応えようとする誠実さの表れでもありました。一つの繁盛店をしっかり守り抜くことが、その背後にいる数多くの中小企業を支えることに繋がるという信念、また「法的義務」を軸に置いたセキュリティの考え方は、新たな気づきをいただき、たいへん勉強になりました。
「やらまいか」
この精神を我々の街へ
今回の視察全体を通じて、私の中に強く刻まれたのは、遠州地方に息づく「やらまいか」の精神です。「やってみよう」「やろうじゃないか」というこの言葉は、単なるスローガンではなく、街のいたるところにあふれる活気の正体そのものでした。悩む前にまず一歩を踏み出し、挑戦を恐れない気質。そのエネルギーが、地域の発展を支え、困難を乗り越える力になっていることを実感しました。この「やらまいか精神」は、私たち問屋街でも、求められていると思います。
視察で得た多くの刺激と学びを単なる知識に留めず、自らの行動へと変え、より良い街づくりに貢献していきたいと思います。最後になりますが、多忙な中、貴重なお話を聞かせていただいた視察先の皆様、そして明治大学の岡田先生、ありがとうございました。

