横山町問屋街は夏物にシフトした5月は多くの専門店が訪れて好調に推移した。6月に入って、月初めの台風と梅雨入りによる天候不順が影響し、「夏物の動きが少し鈍った」とする問屋が多い。梅雨明けから夏商戦はいよいよラストスパート。盛夏のタイムリーな商品を店頭に並べて、夏商戦を締めくくりたいものだ。

暑い夏、盆休み、イベントに期待

 日本気象協会が6月15日に発表した梅雨明け予想によれば、沖縄や奄美は平年並みの6月下旬、九州や中四国、近畿、東海、関東甲信が7月中旬とされている。いずれも少し早い時期を予想。北陸や東北は7月下旬と平年並みだ。

 20日には7〜9月の3カ月予報を発表した。これによると気温は、東日本では平年並みか高く、西日本から九州は高いと予想されている。梅雨明けまでは気温や天候が不順な日が多いが、梅雨明けから8月にかけては「平年同様に晴れの日が多くなる」としている。今年も暑い日が続きそうな気配だ。

 一方、今年のお盆休みは8月13日(日)から16日(水)が基本だが、11日(金)が「山の日」の休日で、多くの企業は11日から16日が夏季休暇になる。大型連休とは言い難いが、多くの人が行楽地に出かけて、夏を満喫することになるだろう。また、今年は4年ぶりに花火大会や地域の祭りが開かれる。7月の夏商戦は夏期休暇とイベントに向けた商品提案がポイントになる。衣料では夏素材がすでに店頭に並んでいるが、そこにワンポイント、手軽に買えて、猛暑対策になる商品を加えたい。

衣料は物価高の影響濃く

 こうした中で、多くの専門店が懸念しているのが物価高による買い控えだ。ウクライナ危機や長引く円安、原料高や物流費の上昇が物価を押し上げている。専門店から「衣料は後回しになる」や「買い控えが心配」という声が聞かれるのも当然のことかもしれない。

 ここにきて消費に大きく影響したのが電気代だ。6月からは電力大手7社が電気料金を値上げした。平均的な家庭の使用量で換算すると、東北電力が1621円、東京電力が881円、北陸電力が2196円の値上げとなった。食品の値上げも勢いが収まらない。物価の上昇が家計を直撃し、消費動向に大きな影響を与えている。

 総務省が6月6日に公表した今年4月の消費支出(2人以上の世帯)は30万3076円で、前年同月比で実質4・4%の減少だ。物価が上がりながら支出が減少しているのは買い控えが一層進んでいることを示している。特に「被服及び履物」は前年同月比で実質9・9%の減少で、「5カ月ぶりの実質減少」としている。食料も実質1・1%の減少だが、物価高で衣料の支出を抑えているのがわかる。一方で、「教養娯楽」は前年同月比で実質4・6%増で、13カ月連続の増加だ。つまり「遊び」にはお金を使う。日常使いではなく、自ら楽しむ行楽に焦点を当てた店頭での商品提案が必要だ。

既に始まった秋物商品の戦略

 夏商戦を締めくくる一方で、視野に入れておかなければならないのが晩夏から秋物の商品戦略だ。大手アパレルではすでに秋物の展示会が開かれている。シャツブラウスやカーディガン、薄手のニットアイテムなどの新作を発表しており、通勤といったオケージョンをはっきりとした打ち出しが目立つ。

 横山町の各商社で秋物が本格化するのはお盆明けだが、8月に入るとすぐに展開する商社もある。7月には秋物の展開アイテムや仕入れ量、価格ラインなどを検討、設定しておく必要がある。

 奉仕会加盟商社はすでに秋物の商品調達の計画に取り掛かっている。これまでの定番商品に加えて、トレンドや消費者の動向などを綿密に分析している。商社がどのように秋物に取り組むのかを早めにつかみ、自店でどのような商品を仕入れて、どのように販売していくかを考えたい。商社の持つ情報をいち早くキャッチして、自店の顧客をイメージして商品戦略を組み立ていくことが大事だ。