今年10月1日から消費税の仕入れ税額控除の方式として「インボイス制度」が始まる。この制度は直接商売に影響してくるものでありながら、その内容をなかなか理解できない専門店も多いのではないだろうか。横山町奉仕会と東京問屋連盟で作る問屋街活性化委員会(三上明夫会長)は4月6日、横山町、馬喰町に仕入れに来られる専門店の皆様を対象に、「インボイス制度に関する講演会」を開催する。

仕入れ税額控除の適用を受ける

 「インボイス制度」という言葉は最近、よく耳にする。その内容をしっかりと理解しておかなければ専門店にとって思わぬ増税になってしまうかもしれない。

 インボイスとは直訳すれば請求書のことだが、制度上は「適格請求書」と言われている。国税庁のホームページによれば、適格請求書とは「売り手が買い手に対して正確な適用税率等を伝えるもの」で、具体的には現行の「区分請求書」に売り手の登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額(8%対象と10%)の記載が求められる。インボイスを発行できるのは登録事業者に限られる。登録できるのは課税事業者に限られる。

 横山町でいえば、売り手は問屋、買い手は商品を仕入れる専門店になる。インボイス制度で買い手である専門店が仕入税額控除の適用を受けるためには「登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要」(国税庁)になる。

登録事業者から仕入れないと増税?!

 消費税額は売上げの消費税額から仕入れと経費の消費税額を差し引いた金額が納付する消費税額になる。例えば卸から1100円(税込)で仕入れた商品を2200円(税込)で販売したとする。納付する消費税額は販売時消費税200円から仕入れ時の100円を引いた額となる。これが仕入消費税控除だ。

 インボイス制度が始まると、適格請求書発行事業者が発行したインボイスでない場合、仕入れと経費にかかる消費税を引くことができなくなる。前述の例でいえば、仕入税額控除が適用されず、専門店が支払う消費税額は販売時消費税の200円となる。

安心できる問屋からの仕入れを

 つまり、登録していない問屋から仕入れると、専門店はこれまでよりも多くの消費税を支払うことになる。十分に注意が必要だ。

 問屋街活性化委員会が開く「インボイス制度に関する講演会」では東京税理士会日本橋支部の安田税理士をお招きし、問屋と専門店がインボイス制度で注意すべき点や必要な手続きなどをわかりやすく解説する。横山町奉仕会に加盟している問屋はすでに登録手続きを始めており、10月1日からの施行に備えている。奉仕会加盟卸は安心の証し。不安なく商品を仕入れることができる。