今年は夏が早くやってくる。そして猛暑が予想されている。横山町問屋街では今年はゴールデンウィーク(GW)明けから夏商戦本番に突入するという見方が広がっており、各社とも夏物商品を例年よりも早く品揃えした。夏商戦に出遅れることなく、早く店頭を夏バージョンに切り換えたいところだ。

5月は真夏日続出

 気象庁が発表した「3カ月予報」によれば、5月は全国的に平年よりも気温が高く、6、7月は「平年並か高い」と予想されている。日本気象協会によれば、「5月には夏日や真夏日が続出」、「6、7月には本格的に暑い夏へ」とし、GWから「熱中症への注意が必要」としている。

 一方で、6月前半から西日本から関東にかけて続々と梅雨入りし、7月初めの梅雨明けから暑さは本格化していく。「地球温暖化で地球全体の大気温度が高く、上空の偏西風が平年より北を流れることで日本付近には暖かい空気が流れ込みやすくなる」(日本気象協会)と予想している。

 5月からの気温の上昇、夏の猛暑が予想される中で、今年はこれまでの2年間とは異なり、コロナ感染防止の規制がない。人々の移動が活発になり、消費への意欲が高まっていくだろう。

夏のイベント復活

 イベント会場では限度いっぱいの入場者数が許可され、旅行などに移動制限がない。GWは旅行の予約が昨年から倍増し、またプロ野球などでは満員の観客の姿が見られるようになった。

 花火大会は、「隅田川花火大会」(東京)は今年も中止が決定し、地方でも中止を決定したところはあるが、「長岡まつり大花火大会」(新潟県長岡市)や「大曲全国花火大会」(秋田県大仙市)、「土浦全国花火大会」(茨城県土浦市)の日本三大花火大会は3年ぶりに開催される予定だ。また、祭りも今年は開催を予定する地域が増えた。感染拡大を考慮しての規模の縮小はあるが、今年はリアルでの開催を目指して準備しているところも多い。

一気に夏物シフト

 今年は過去2年の夏とはコロナ禍での環境が変化している。店頭を訪れるお客様にどんな変化があるのかを見極めて、早めに夏の商品を手当しておく必要がある。

 横山町奉仕会加盟各社は4月半ばから夏物商品を徐々に増やし、GW明けから一気に加速する夏商戦に向けて準備を進めている。初夏から盛夏へと対応する商品を徐々に広げていくが、綿や麻などの夏向け素材、接触冷感などの機能素材の商品を例年よりも半月ほど前倒しして売り場に投入した。

 アクロスは4月から夏物を売り場で展開してきたが、「気温が上がって夏物が活発に動くようになった」としている。また、宮入のパンツ売り場では「接触冷感素材が好調に推移している」という。専門店は気温の変化に敏感に反応する。夏商戦を視野に入れ、専門店は商品の確保と店頭での売れ筋の見極めに力を入れている。

商品追加難しく

 一方で危惧されているのが円安の進行、輸送費の上昇、中国・上海市のロックダウンだ。

 外国為替相場はこの4月半ばに1ドル=129円台まで円安が進行し、専門家の多くは「130円台まで進む」との見方を示している。円だけが海外通貨に対して下落する「独歩安」ともいわれ、。ドルだけではなく、ユーロや中国元に対してもその価値を下げている。中国や韓国などから輸入している製品は価格が20%程度上昇している。また、円建てで取引している海外工場は円安の進行で日本向け商品を減産し始めるケースも出てきた。

 それに加えて物流コストが問屋を圧迫し、一方で、上海のロックダウンによって入荷の滞りが常態化してきた。ある問屋は「入荷が2週間程度遅れるのが当たり前になってきた。専門店に提供する時期を逸してしまう」と心配している。

 問屋各社はこうした逆風の中でも必死に商品を仕入れて、ギリギリまで値上げ幅を我慢して商品を提供している。また、商品の追加が難しいことから、計画的な仕入れで夏物商品に欠品を起こさないよう懸命に努力している。夏商戦は目前に迫り、仕入れ環境は厳しくなっている。商品仕入れ計画が専門店には求められている。