政府の緊急事態宣言解除以降、百貨店や商業施設の営業が再開した。一方でこれまで県を越えての移動自粛要請が6月19日に解除され、経済活動が本格的に動き出した。その中でファッション業界は例年のやり方やシステムの変革を余儀なくされている。春、夏商戦はこれまで経験したことのない状況で経過し、戸惑いを見せる卸や専門店も多い。実需期から終盤を迎える夏商戦にどのような戦略を立てていくか。この1カ月でどこまで取り戻すか。今こそ、横山町問屋街の機能をフル活用する時だ。

異なるスケジュール

 これまで「ステイホーム」を心がけていた消費者も次第に外出が増え、通勤電車も以前の姿に戻ろうとしている。政府の緊急事態宣言以降、アパレル各社や専門店はネット販売を伸ばしてきたが、ここにきてリアル店舗の来店客数が上昇傾向にあるのは明るい話題だ。

 一方で、今年は商売のやり方を変えざるを得ない状況になっている。例年であれば5月下旬から6月にかけて春物セール、次第に夏物へとシフトさせ、6月末からは夏物のクリアランスセールというスケジュールだった。百貨店は期日を設けず、取引先の判断でセールを開始するケースが多い。アパレルでは春物、夏物を同時にスタートするケースも見られる。プロパー商品の実需期を逃したのは大きい。

チャンスはある

 専門店にとっても外出自粛の影響は大きかっただろう。外出機会が減れば新しい洋服は必要ない。ステイホームによってカジュアルな普段着はネットで買うが、「お出かけ着」はいらないというのが消費者の本音だった。

 外出自粛が緩和され、県外への移動も可能になると洋服の需要は必ず高まってくる。自粛期間中の消費者のストレスは大きい。解除されたことで消費の意欲は確実に高まっている。政府から給付される国民一人10万円の「定額給付金」も支給が進み、それも消費に弾みをつけ始めた。

 横山町問屋街にも仕入れに訪れる専門店の姿が次第に戻りつつある。「まだまだ仕入れにくる専門店は少ない」とは言いながら「以前の8割ほどまで回復した」「5月のどん底を脱して少し明るくなってきた」という声も聞かれるようになった。次第に東北や上信越の専門店も訪れるようになるだろう。

 こうした中で「夏物商戦でもう一山やってくる。積極的に商品を集める」という商社もある。県外への移動が可能になり、旅行に出かける人も増える。そこにもう1度、夏物商戦のチャンスがある。

リスク管理も必要

 この7月、8月は秋冬物も視野に入れなければならない。そこでどのように秋冬物に取り組んでいくのかを事前に考えておく必要がありそうだ。夏の猛暑、残暑がどこまで続くか。特に新型コロナの第2波、第3波がどのようにやってくるのか。10月、11月以降の寒くなる時期に「十中八九もう一度、波がやってくる」という専門家もいる。そこでの商品戦略を緻密に組み立てて仕入れしていくことが大事だ。

 一方で、今回のコロナ禍は企業や店舗にとって大きな教訓をもたらした。マスクが異様なほど不足した。積極的に仕入れて販売した専門店も少なくない。マスクの備蓄はどうするか。商品の仕入れ数量をどう考えるか。、再び緊急事態宣言が発出された時に店舗をどう運営していくか。緊急時にどう備えるかを考えてみることが必要だ。