2023(令和5)年10月、横山町奉仕会は創立90年を迎える。全国の専門店に支えられ、そして専門店を支援し続けて歴史を積み重ねてきた。その前年に当たる今年は、長年のご愛顧に感謝の意を込めて、4月から「奉仕会創立90周年記念大売出し」を開催する。11月と12月には大抽選会を開いて、仕入れに訪れる専門店の皆様に豪華賞品を提供する。

幾度もの苦難を乗り越えて

 横山町奉仕会は、1933(昭和8)年10月15日に発足した「横山町大通聯合奉仕会」に始まる。これ以降、関東、東北地方から多くの専門店が仕入れに訪れるようになった。しかし、日本が戦争へと進む中で、40(昭和15)年には戦時態勢と経済統制のために奉仕会活動を中止、解散に至った。経済統制が厳しくなりながらも問屋は懸命に営業を続けていたが、45(昭和20)年の東京大空襲によって横山町は焼け野原になってしまった。横山町奉仕会50年史には「2度の空襲で横山町は灰燼となる」と記されている。

 奉仕会が復活したのは49(昭和24)年のことだ。この年44名の小売店から「奉仕会復活要望書」が出され、「横山町大通り奉仕会」として活動を再開させた。翌年には現在の「横山町奉仕会」と名称を変えた。横山町の存在と大売出し、活動を広くPRする目的で、53(昭和28)年、弊紙「横山町問屋新聞」が発行された。

 50年代半ばから70年代へと続く日本経済の高度成長期、バブル経済の崩壊後の長引く不景気、リーマンショック、顧客の多くが被災した東日本大震災、そして新型コロナの感染拡大など、幾つもの苦難を乗り越えて、奉仕会を受け継いできた人達によって90年の歴史が積み重ねられてきた。

   昭和58年当時の横山町大通り

奉仕会の顔となった売出しと奉仕券

 創立以来、奉仕会の目玉は毎月行われる売出しと買上げ額に応じた奉仕券(戦前は優待券)の発行だ。

 復活した年の5月に戦後第一回の大売出し「中元百貨特別売出し」を開催し、続く9月には「奉仕会特別大商品市」を開いて、全国から多くの専門店が詰めかけて大盛況となった。これらの成功が現在の毎月の売出しにつながった。

 奉仕券は1口10円で換算される。売出し日には倍口が呈上され、買上げ金額に応じて発行される奉仕券は、奉仕会主催の旅行や講演会、ゴルフ会、観劇会などのほか、現在と同じようにホテルやレストラン、陳列器具の購入などにも利用された。また、戦後以来続く抽選は60口を1回とし、1等1万円が当たる。奉仕会館3階の奉仕会事務局には今でも多くの人が抽選に訪れる。

奉仕券倍口、抽選補助券呈上

 毎月行われる売出しと奉仕券の発行とは別に、5年ごとの周年に向けて設けられたのが「記念大売出し」だ。40周年の記念事業として始まり、当時は奉仕券とは別に「問屋くじ」を発行。特賞が韓国旅行と副賞5万円などの商品が贈られた。以降、社会情勢や景気の影響を受けながらも5年ごとに実施されてきた。周年の前年に売出し日を設けて、年末に抽選会を実施することが恒例になった。

 今回の「奉仕会創立90周年記念大売出し」では、4月から年間61日間という売出し日を設けた。売出し日に仕入れに訪れれば、仕入れ金額に応じて奉仕券を倍口呈上するほか、抽選補助券が発行される。11月、12月には大抽選会を開き、補助券7点で1回、特賞10万円、1等は高級ホテルでの食事会ペアご招待のほか、現金が当たる。

 大売出しや奉仕券の発行と抽選、周年のイベントは長きにわたって仕入れに訪れる専門店に向けたサービスだ。一昨年から続く新型コロナの感染拡大は専門店にも問屋にも大きな影響を与えた。暗い話題が続いてきた中、奉仕会は全力を挙げて取り組む今年の「奉仕会創立90周年記念大売出し」で、明るい話題を提供していく。